誤嚥性肺炎と口腔ケア
食べ物や唾液などを飲み込むことを嚥下、飲み込んだ物が食道ではなく気管に入ってしまうことを誤嚥といいます。
誤嚥すると、食べ物などと一緒に飲み込んだ細菌が肺に入って肺炎を起こすことがあり、これを誤嚥性肺炎といいます。
誤嚥性肺炎になると、
・食欲がない
・のどがゴロゴロする
・なんとなく元気がない
・微熱が続く
・痰がからむような咳がでる
などの症状があらわれます。
誤嚥性肺炎の原因について
一言でいうと、飲み込む機能(嚥下機能)が低下することが原因です。
いくつかの例をあげると、
・寝たきりになることによる、筋肉の低下
(寝たきりの方は体を動かさない、または動けない状態で、筋肉がおちていく一方です。当然嚥下機能にかかわる筋肉量も減少します。)
・呼吸機能に関する病気になる。
私たちは息を吸いながら物を飲み込むことはできません。
飲み込むときは息をとめる、というように呼吸と嚥下は協調して運動する機能です。
しかし、呼吸機能にかかわる病気(心疾患など)の方は、お互いの運動がうまくかみあわず、誤嚥しやすくなります。
・脳梗塞にかかる
(脳梗塞の方も、飲み込む反射が鈍くなっています。)
ほかにも、嘔吐などで食物と胃液を一度に多く誤嚥して発症することもあります。
認知症など、いろいろな病気により嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎になることもあります。
高齢者にも多い病気でもあり、慢性化して、繰り返し発症することもあります。
誤嚥性肺炎の治療と予防について
誤嚥性肺炎の治療は、抗菌薬を飲む療法が基本です。
体の状態が悪い場合は、入院して治療をします。
同時に、嚥下指導も行います。飲み込む力を改善し、維持するためのリハビリです。
また、食事のときの姿勢もとても大切です。
・テーブルに腕をのせて、ひじが90度くらいに曲がるくらいのいすの高さにする
足の裏が床についていることが重要です。
高すぎるときは、台などを置いて工夫してください。
・テーブルから体を握りこぶしひとつ分くらい離して、背筋を伸ばします。
あごは引きぎみにします。
このように、食物を飲み込みやすい姿勢を意識してください。
誤嚥性肺炎予防の基本、口腔ケアについて
高齢者や寝たきりの方は、お口の中を清潔に保つことが難しく、肺炎の原因になる細菌が多くなってしまいます。
栄養状態が良くないことや免疫機能が低下していることも誤嚥性肺炎発症の要因になります。
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カテゴリー: 口腔ケア
2019年1月3日 (木)